不遇ジョブ

昔、神威を断わっている人の中にこんな言葉がありました。

『役に立つジョブじゃないから』──

そんなもの、関係ない。
「やろう!」と言って誘ってくれる人は、全てをひっくるめてそう言っている。
やろうとするかしないかの問題だ。やりたいなら、『精一杯がんばるから』と胸を借りればいい。
それに前にも書いた隊長の言葉。

『“ジョブが”じゃなくって、俺達で何とかしましょ』

それが、やっぱり冒険者の心で、勝利への近道で。


いつも拝見させて頂いているあーしゅさんのblog → *go well* から引用させて頂きました。この言葉を読んでなんか泣けてきちゃいました。あちらのblogの内容とは全く関係ないのですが、昨日、書こうかどうか迷っていたことを、自分の心の記憶として書くことにします。本当に伝えたいことがうまく伝わらなかった話です。



ゲームの中には不遇とされるジョブがいくつかあって、せっかく頑張ってLv75にしたのに「こんなはずではなかった」という気持ちになることもあります。私はメインジョブがシーフです。ソロでは結構強いし、トレハンもあるので、それだけでも恵まれているのかもしれません。でも、そういう「恵まれている」っていう考え方は、ゲームの中でそもそもおかしいなと常々思っています。


最強ジョブといわれる赤・黒・忍は活躍の場が多いです。シーフはあまりBC等では役に立たないし、何より短剣のD値が弱く、通常殴りが敵のTP貯めに加担しているところがあります。WSは不意やダマとセットで活きてくるので、周囲の協力が必要だったりします。一時、自分は弱いジョブだと嘆いていた時期がありました。大きな顔せず、小さく目立たないようにしていよう。そんな気持ちでAFを着るのが嫌だった時期もありました。そんな私に「シーフは強いんだよ」といつも励ましてくれるフレがいました。そのフレのいう強いシーフは、空や裏へも参加していて、簡単には手に入らない装備を身に着けている人たちのことだと重々承知していたけど、それでもフレがそんなふうに励ましてくれるのが、すごく嬉しかったのです。


一緒に遊びに行く仲間の中にも、不遇ジョブを憂いているフレがいます。「シーフだってそんなに恵まれたジョブじゃないよ」と言ってはみますが「シはWSも強いし、何よりトレハンで皆の役に立つじゃないか」と言い切られます。私はそのフレを責めるつもりは全くありませんでした。「ゲームなんだから、考え方一つで楽しくなるよ」ってことが伝えたかったのです。けれどフレは「君は全く理解していない」と私の言葉を断ってしまいます。「どんな風に考えても結局自分は全く役に立たない」と。


確かにゲームの中では不遇ジョブかも知れません。2チャンやネ実で散々言われているジョブかも知れません。けれど、自分の周りにいる仲間に何か言われたことがあったでしょうか。何かを遂行するときは、ジョブ構成は若干大切になってきますが、それ以外に、たとえばアイテムを取りに行ったり、スキル上げに行ったりする時は、卑屈になることは何一つないと私は思うのです。そのフレを誘う仲間は、フレのことを役に立たないなんて絶対思っていないし、お情けで誘っているわけでもないと思います。そのフレと一緒に遊びたいから誘うだけ。仲間と一緒に遊んでいるときに、役に立たないから申し訳ない。肩身が狭い。と、そんな風に思っているとしたら、なんて寂しいんだろう。


私なりに励ましたり、考え方の角度を変えてみることを提案しましたが、フレの耳には全く届きませんでした。「君は全然理解してないよ」そういって、何度も撥ねつけられました。そのたびに「理解できてないかも知れないけれど…」と言葉を繋げるのですが、かえってフレの機嫌を悪くするだけでした。フレにはフレなりの考え方があって、確固たる思いがあって、それで今に至っているのはわかっているつもりです。それでも一緒にいるときは楽しくしてほしい。ちょっと目先を変えてみてほしい。そんなふうに思う私は甘いのでしょうか。そういう私の言葉が、どうやらフレのヘイトをとことん高めてしまったようです。


「君は全く理解していないよ。詳細を説明してもわからないだろうから、この話はもうやめよう」そういって話を切られてしまいました。


ゲームを楽しむのは他でもない自分です。好きで上げたジョブなんだから、もちろん他ではあれやこれやと規制はあるかも知れないけれど、自分なりに楽しめばいいと思うのです。少なくとも、そのジョブで仲間と一緒に遊びに行くときは、卑屈になる必要は何もないと思うのです。誰もフレのことを役に立たないなんて思っていない。それを何とか伝えたかったので、私なりに言葉を選んで、最後に「理解できなくてごめんなさい」と誤りました。けれど…フレは、私が自分を励ましてくれたフレに感じたような「ありがとう」という気持ちにはなってくれませんでした。


むしろ「全くわかってないのに何ごちゃごちゃ言ってんの?うるさいよ」そんな感じになってしまいました。私の言葉が足らなくて、伝えられなく、もどかしかったけれど、どうすればわかってもらえるのか、私にはわかりませんでした。フレが一言でも、こちらの気持ちを受け入れて「気持は嬉しいけど」とか「そんなふうに言ってくれてありがとう」とか、その上で「でもね…」と拒否されたのなら何か救われた気もするのですが、それは私の勝手な思い上がりでしかないんだなぁと思いました。


私の言葉はフレには届いてないし、完全に拒否されてしまったので、黙ってしまうしかありませんでした。気まずい空気が流れた後で、フレが口を開きました。追い討ちをかけるように「もし他にLv75のジョブを持ったら、きっと誰も二度とそのジョブにはならないよ」「自分が選んだジョブはそういうジョブなんだ」と言い切ってしまったのです。ヴァナで黙ってしまったら何も伝わらない。わかっていても、返す言葉が何も見つかりませんでした…。そして少し腹が立ちました。


ゲームなのに…。どうしてそんなふうに追い込んでしまうんだろう。何でも楽しんだもの勝ちだと思う私はお気楽すぎるんだろうか。どうして自分で自分の囲いを作って狭くしてしまうんだろう。どうしてそんな中で遊べるんだろう。こんなことを言うと、またフレの言葉が聞こえてきそうです。


「君は全く理解してないよ」


そうなのかも知れません。私が理解してないから、そんなふうに思うのかも知れません。昨夜は久しぶりに、なんだか自分が情けなくて泣けちゃいました。「ジョブじゃないよ!」そう叫びたかった。フレは、多分大切に思う仲間の役に立てないことが悔しいんだろうなと、その気持ちもわかるのです。わかるんだけど、やっぱりゲームを楽しくするのは自分次第です。そのフレと遊びたくて誘っている仲間に対して、卑屈な気持ちになるのは違うんじゃないかと。もっと能天気に楽しめばいいんじゃないのかと。それは決して鈍感なんじゃない。


何よりせっかく上げたジョブを誇りに思っていないフレの気持ちが切ない。そこは私が介入すべき場所ではないんだろうけど…。もちろんそう思えないようなジョブが存在するのは、開発側の問題かもしれないけど。でも何か違う。違うんだよぉ〜;; 少し前にそのフレが、違うジョブをレベル上げするとき、自分のメインジョブがPTにいると嫌だと言ってたんですよね。シもPTにいると稼げないといわれるジョブですが、私は興味を持って見ることはあっても、自ジョブがいたら嫌だと思ったことはありません。それを聞いたときも、とてもやり切れなかったです。結局ジョブに縛られて、自らも縛っているのはフレ自身じゃないかと。なんだかな。しばらくぐるぐる考えて凹みそうです…。